こんにちは、暖淡堂です。
「勘辨」の11回目です。
臨済は、二代目の德山の説教の噂を耳にして、侍者の楽普を德山のもとに向かわせます。
そこで楽普は何かを学ぶことができるでしょうか。
臨済録の原文全文は以下のリンクからご確認ください。
師聞第二代德山垂示云、道得也三十棒、道不得也三十棒、師令樂普去問、道得為什麼也三十棒、待伊打汝、接住棒送一送、看他作麼生。
師は第二代德山が垂示して、言い得たとしても三十棒、言い得なくても三十棒と言っていると聞いた。そこで楽普に命じて德山のもとに使いに出し、言い得たとしてなぜ三十棒なのかと問わせ、德山が打とうとしたら、その棒を押し戻して、德山がどのように振る舞うかを試させた。
普到彼、如教而問。
楽普がそこに着き、指示された通りに問うた。
德山便打。
德山は打った。
普接住送一送。
楽普はそれを押し戻した。
德山便歸方丈。
德山はそのまま方丈に帰った。
普回舉似師。
楽普は戻って師にこのことを報告した。
師云、我從來疑著這漢。
師は言った、私はかねてからあの男もなかなかやるのではないかと思っていたのだ、と。
雖然如是、汝還見德山麼。
そして、そうではあるが、汝自身は德山をどのように見た、と聞いた。
普擬議。
楽普はすぐには答えられなかった。
師便打。
師はそこで打った。
「言い得たとしても三十棒、言い得なくても三十棒」
そう言っていた德山ですが、楽普とのやり取りでは、棒で打つことをやめ、方丈に戻りました。
それを聞いた臨済は、德山を「なかなかやるものだ」と評価します。
一方で楽普は、自分自身の経験から何を学んだのか、速やかに言うことはできませんでした。
それで臨済から一棒を受けます。
楽普ははじめ臨済の言葉を運びます。
その後、德山の振る舞いを見たままに伝えます。
それぞれ、自分以外のものを運んでいるだけです。
臨済から、お前自身は何を見た、と聞かれ、その瞬間に戸惑います。
その、楽普が自分自身を見た瞬間に意識を長く留められるように、臨済は一棒を与えたのではないでしょうか。
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「臨済録」現代語訳は、全文の推敲を終えたら関連する地図、臨済の生きた時代の年表などと合わせて書籍にする予定です。
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