こんにちは、暖淡堂です。
「行錄」の10回目です。
臨済は黄檗の書を預かって、溈山と仰山のもとを訪ねます。
そこで臨済のその後を予言する言葉を仰山から聞くことになります。
それはどのようなものでしょうか。
臨済録の原文全文は以下のリンクからご確認ください。
師為黃檗馳書去溈山。
師は黃檗のために書を届けに溈山のもとに行った。
時仰山作知客。
その時、仰山が客を迎えた。
接得書、便問、這箇是黃檗底、那箇是專使底。
書を受け取り、問うた、これは黃檗和尚のものだが、あなたはどのようなものを常に用いているのか、と。
師便掌。
師は手のひらで打った。
仰山約住云、老兄知是般事、便休。
仰山はそれを押さえ止め、あなたがそのあたりを理解しているならよいでしょう、と言って許した。
同去見溈山。
二人は連れ立って溈山に会いに行った。
溈山便問、黃檗師兄多少衆。
溈山は問うた、黃檗師兄のところには修行の僧はどのくらいいるのか、と。
師云、七百衆。
師は答えた、七百人ばかりです、と。
溈山云、什麼人為導首。
溈山は言った、だれが導首をしているのか、と。
師云、適來已達書了也。
師が言った、つい先ほど書をお渡ししたところの者です、と。
師卻問溈山、和尚此間多少衆。
それから師が溈山に問うた、和尚のところは修行僧はどのくらいいるのですか、と。
溈山云、一千五百衆。
溈山は答えた、一千五百人ばかり、と。
師云、太多生。
師は言った、それは多いですね、と。
溈山云、黃檗師兄亦不少。
溈山は言った、黃檗師兄のところも少なくない、と。
師辭溈山。
師は溈山に暇を告げた。
仰山送出云、汝向後北去、有箇住處。
仰山が送りに出て言った、あなたはこの先、北へ向かうといいでしょう、そこにあなたの住処があります、と。
師云、豈有與麼事。
師は言った、そんなことがあるのでしょうか、と。
仰山云、但去、已後有一人佐輔老兄在。
仰山は言った、ただ行ってみなさい、そこにはすでにあなたを輔けることになる者が一人いますよ、と。
此人祇是有頭無尾、有始無終。
その者はただ頭だけがあって尾がなく、始まりだけがあって終わりが無いような者です、と。
師後到鎮州、普化已在彼中。
師が後に鎮州に至ると、先に普化がそこにいた。
師出世、普化佐贊於師。
師が住職となって指導し始めると、普化は師を補佐した。
師住未久、普化全身脫去。
師が住職となってまだそれほど経たないうちに、普化は全身脫去してしまった。
臨済は黄檗のもとで修行をしていましたが、大悟するためには大愚と出会う必要がありました。
大悟の後、自らの禅風を確立するためには首座とともにする修行が役立っています。
さらには、普化との出会いもとても大切なのですが、そのきっかけは溈山と仰山のもとを訪れた時に与えられています。
臨済の修行は、このように、何人かの人との出会いによって深められていったようです。
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「臨済録」現代語訳は、全文の推敲を終えたら関連する地図、臨済の生きた時代の年表などと合わせて書籍にする予定です。
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