こんにちは、暖淡堂です。
「行錄」の9回目です。
農作業をしに出かける黄檗の後ろを、臨済が手ぶらでついて行きます。
臨済が手ぶらであることに気づいた黄檗が話しかけます。
それはどのようなやり取りになるでしょうか。
臨済録の原文全文は以下のリンクからご確認ください。
一日普請次、師在後行。
ある日、畑の作業をする時に、師(臨済)は黄檗の後をついて行った。
黃檗回頭、見師空手、乃問、钁頭在什麼處。
黃檗は頭を回し、師が空手であることを見ると、問うた、鍬は持っていないのか、と。
師云、有一人將去了也。
師は答えた、ある人が持って行ってしまいました、と。
黃檗云、近前來、共汝商量箇事。
黃檗は言った、こっちへ来い、汝とともにこのことを考えてみよう、と。
師便近前。
師は近寄って行った。
黃檗豎起钁頭云、祇這箇、天下人拈掇不起。
黃檗は鍬を持ち上げて言った、こればかりは、天下の誰にも持ち上げきれないものだぞ、と。
師就手掣得、豎起云、為什麼卻在某甲手裡。
師はその手から鍬を取り、持ち上げて言った、一体どうして、それが私の手にあるのでしょう、と。
黃檗云、今日大有人普請。
黃檗は言った、今日は見事に仕事をやり遂げた者がいるそ、と。
便歸院。
そうして院に帰った。
後溈山問仰山、钁頭在黃檗手裡、為什麼卻被臨濟奪卻。
後に溈山が仰山に問うた、鍬は黃檗の手のうちにあったのに、どうしてそれが臨済に奪われてしまったのだろうか、と。
仰山云、賊是小人、智過君子。
仰山は言った、賊は小人ですが、その智は君子以上ということでしょう、と。
黄檗が持っていた鍬を臨済がさっと取り上げてしまいます。
この場面は、どのようなことを私たちに伝えようとしているのでしょうか。
溈山にその意味を問われた仰山が答えます。
鍬を取り上げた者はまだまだ小人だが、その知恵は十分で君子以上です、と。
ここでもやはり、その後の臨済の活躍を予言しているように読めます。
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「臨済録」現代語訳は、全文の推敲を終えたら関連する地図、臨済の生きた時代の年表などと合わせて書籍にする予定です。
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