こんにちは、暖淡堂です。
「行錄」の14回目です。
臨済は三峰の平和尚のところを訪ねます。
平和尚は臨済の修行の程度を試そうとします。
どのようなやり取りになったでしょうか。
臨済録の原文全文は以下のリンクからご確認ください。
到三峰。
師は三峰に至った。
平和尚問曰、什麼處來。
平和尚が問うて言った、どこから来たのか、と。
師云、黃檗來。
師は答えた、黃檗のところから来ました、と。
平云、黃檗有何言句。
平和尚は言った、黃檗はどのような言葉で教え導いているのか、と。
師云、金牛昨夜遭塗炭、直至如今不見蹤。
師は答えた、金牛は昨夜炭で塗りつぶされてしまい、まったくその痕跡も見ることはできません、と。
平云、金風吹玉管、那箇是知音。
平和尚は言った、金風が吹く玉管の音は、誰が聞いているのか、と。
師云、直透萬重關、不住清霄內。
師は答えた、その者は万重の関門を通り抜け、蒼空さえも突き抜けています、と。
平云、子這一問太高生。
平和尚は言った、そなたの問いは大いに高すぎるな、と。
師云、龍生金鳳子、衝破碧琉璃。
師は言った、龍が生んだ金鳳子は、碧い琉璃を突き破ったのです、と。
平云、且坐喫茶。
平和尚が言った、まずは座ってお茶でもいかがか、と。
又問、近離甚處。
また平和尚が尋ねた、今はどこから来たのか、と。
師云、龍光。
師は答えた、龍光のところからです、と。
平云、龍光近日如何。
平和尚が言った、龍光は最近はどんな様子だったか、と。
師便出去。
師はそこで出て行った。
臨済は、師である黄檗の教えを、その痕跡を見ることもできない、と言います。
それは形を変え、臨済自身の中に流れ込んだものということかもしれません。
黄檗の教えが、笛に流れ込む爽やかな風であれば、きっと清々しい音を出すはず。
その笛の音を聞いている者はどこにいるのか、と平和尚は尋ねます。
その問いに対し、臨済は、龍が産んだ鳳は、碧瑠璃を突き破ってしまった、と答えます。
何ものにも囚われることなく、自由に飛んでいるぞ、ということでしょうか。
臨済自身による、自らの修行の到達点の宣言のように読み取れます。
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「臨済録」現代語訳は、全文の推敲を終えたら関連する地図、臨済の生きた時代の年表などと合わせて書籍にする予定です。
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