こんにちは、暖淡堂です。
「行錄」の15回目です。
臨済は大慈和尚のところを訪ねます。
坐禅をしていた大慈和尚と臨済は、短い詩のようなやり取りをします。
それはどのようなものになったでしょうか。
臨済録の原文全文は以下のリンクからご確認ください。
到大慈。
師は大慈和尚のところに至った。
慈在方丈內坐。
大慈和尚は方丈の中で坐禅していた。
師問、端居丈室時如何。
師は問うた、方丈で坐禅しているとはどのようなものでしょうか、と。
慈云、寒松一色千年別、野老拈花萬國春。
大慈和尚は言った、寒松は一色にして千年別なり、野老は拈花して萬國は春、と。
師云、今古永超圓智體、三山鎖斷萬重關。
師は言った、今古永く超ゆ円智の体、三山(蓬莱、方丈、瀛州の三山)鎖断す万重の関、と。
慈便喝。
大慈和尚は一喝した。
師亦喝。
師もまた一喝した。
慈云、作麼。
大慈和尚が言った、なにを言っているのだ、と。
師拂袖便出。
師は袖を払って方丈を出て行った。
大慈和尚は臨済に答えて言います。
冬の寒さの中でも松は変わらず、千年経とうとも他のものとは同じではない。
しかし、世の中も春ともなれば、老人は花を手にもて遊ぶのだ。
それは大慈和尚のそのままの現状を言ったものかもしれません。
それに対して臨済は言います。
古くから完成された知恵といわれているものも、何重もの関で閉ざされた高山のようになってはいないか。
そうして、臨済は袖を振るって、大慈和尚のもとを去ります。
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「臨済録」現代語訳は、全文の推敲を終えたら関連する地図、臨済の生きた時代の年表などと合わせて書籍にする予定です。
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