こんにちは、暖淡堂です。
「行錄」の21回目です。
臨済は金牛和尚を訪ねます。
そこでも短いやり取りをします。
それはどのようなものになったでしょうか。
臨済録の原文全文は以下のリンクからご確認ください。
到金牛。
金牛和尚のところに至った。
牛見師來、橫按拄杖、當門踞坐。
金牛和尚は師が来るのを見て、拄杖を横にして構えて、門のところに座り込んだ。
師以手敲拄杖三下、卻歸堂中第一位坐。
師は手で拄杖を三度叩き、禅堂に入って第一位の座についた。
牛下來見、乃問、夫賓主相見、各具威儀。
金牛和尚が入って来て、問うた、主人と客が相見するときは、おのおの礼儀をわきまえるものだ。
上座從何而來、太無禮生。
上座はどこから来たのか知らないが、まったく無礼ではないか、と。
師云、老和尚道什麼。
師は言った、老和尚はなにを言いたいのか、と。
牛擬開口。
金牛和尚は口を開こうとした。
師便打。
師はそこで打った。
牛作倒勢。
金牛和尚は倒れそうな素振りを見せた。
師又打。
師はまた打った。
牛云、今日不著便。
金牛和尚は言った、今日はなんだかうまくいかん、と。
溈山問仰山、此二尊宿、還有勝負也無。
溈山が仰山に問うた、この二尊宿に、さて勝負はあっただろうか、と。
仰山云、勝即總勝、負即總負。
仰山は言った、勝ったとしたらどちらも勝ち、負けたとしたらどちらも負けです、と。
金牛和尚は臨済の振る舞いを無礼であると咎めます。
しかし臨済はまったく構いません。
そして、さらになにか言おうとする金牛和尚に一棒を加えます。
溈山に、さてこの二人、どちらが勝ったのだろうかと問われた仰山は答えます。
勝ったとしたらどちらも勝ち、負けたとしたらどちらも負け。
勝ち負けは、この二人の間にあるのではない。
そう仰山は言っているように思えます。
*****
「臨済録」現代語訳は、全文の推敲を終えたら関連する地図、臨済の生きた時代の年表などと合わせて書籍にする予定です。
新品価格 |
0 件のコメント:
コメントを投稿