「歴史は天皇氏から語り始められる」 十八史略卷一 第1回目

2024-04-29

十八史略

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こんにちは、暖淡堂です。

「十八史略卷一」の1回目です。

十八史略の冒頭、国の始まりから語り起こされます。

十八史略(全卷)目次は以下のリンクからご確認ください。 

十八史略目次

  

太古 

〔天皇氏〕以木德王。歲起摂提。無爲而化。兄弟十二人、各一萬八千歲。 

〔地皇氏〕以火德王。兄弟十二人、各一萬八千歲。 

〔人皇氏〕兄弟九人、分長九州。凡一百五十世、合四萬五千六百年。 

〔有巣氏〕人皇以後、有曰有巣氏、食木實。 

〔燧人氏〕至燧人氏、始鑽燧、敎人火食。

在書契以前、年代・國都不可攷。


<訓読文>

〔天皇氏〕木徳を以て王たり。歳は摂提より起こる。為すこと無くして化す。兄弟十二人、各々一万八千歳。

〔地皇氏〕火徳を以て王たり。兄弟十二人、各々一万八千歳。

〔人皇氏〕兄弟九人、九州を分かちて長たり。凡そ一百五十世、合わして四万五千六百年。

〔有巣氏〕人皇以後、有巣氏と曰う者有り、木の実に食う。

〔燧人氏〕燧人氏に至りて、始めて燧を鑽り、人に火食を教う。

書契の前に在り、年代・国都は攷うべからず。


<現代語訳>

はるか昔、太古の時代。まだ文字が生まれる前のこと。

まず、天皇氏(てんこうし)という神々が現れた。彼らは木の徳をもって世を治め、自然の摂理に従い、人々に何事も強制することなく、すべてを穏やかに導いた。兄弟は十二人、それぞれがなんと一万八千年も生きたという。

次に現れたのは、地皇氏(ちこうし)だった。彼らは火の徳をもって王となり、その兄弟もまた十二人、同じく一万八千年の時を過ごした。

そして、人皇氏(じんこうし)の時代が訪れた。兄弟は九人で、それぞれが中国の九つの州を分かち合って治めた。この時代は百五十代、合わせて四万五千六百年の長きにわたって続いた。

人皇氏の時代が終わった後、人々はまだ原始的な暮らしをしていた。木の枝に巣を作って住み、木の実を食べていたため、この時代を有巣氏(ゆうそうし)と呼んだ。

その後に現れたのが、燧人氏(すいじんし)だ。彼は初めて木をこすり合わせて火を起こす術を人々に教え、それまで生で食べていたものを焼いて食べる「火食」の文化が始まった。

これらはすべて文字が生まれる前の出来事であり、その正確な年代や都がどこにあったのかは、もはや知ることはできない。

 

日本の「古事記」や「日本書紀」の書き始めとはずいぶんと違いますね。

天皇氏などは伝説上の存在ではありますが、統治者として登場します。

特定の神や人物ではなく、「神々」という位置付けのようです。

天皇氏と呼ばれる神々がいた、ということですね。


その神々が世界を導いている頃。

統治者が入れ替わりますが、その交替も五行の考え方が反映されています。

東洋思想によって、国の始まりを整理しようという試みが窺える部分です。

とても長い時間をかけて、神々から人々へ、知恵がもたらされます。


引き続き、少しずつ翻訳文を記事にしていきます。

できるだけ平易な現代語になるように心がけます。

太古から南宋の滅亡までの歴史なので、とても長い物語になります。

最後まで辿り着くのには、ずいぶんと時間がかかりそうです。

お付き合いいただけますと幸いです。


十八史略原文の初めの部分は以下のリンクから。


十八史略原文 十八史略卷一


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