こんにちは、暖淡堂です。
「勘辨」の22回目です。
「勘辨」の最後で、また普化が出てきます。
とても面白いエピソードが書かれている部分です。
まるで短編小説のようです。
普化はどのような振る舞いを街中でしているでしょうか。
臨済録の原文全文は以下のリンクからご確認ください。
普化一日、於街市中、就人乞直裰。
普化がある日、街の中で、僧が着る衣服を施してくれないかと人々に頼んでいた。
人皆與之。
人々はみな僧のための衣服を施した。
普化俱不要。
しかし普化は、そのどれをも受け取らなかった。
師令院主買棺一具。
師は院主に棺一式を買って用意させた。
普化歸來。
普化が帰って来た。
師云、我與汝做得箇直裰了也。
師は言った、私は汝のために僧衣を用意しておいたぞ、と。
普化便自擔去、繞街市叫云、臨濟與我做直裰了也。
普化はそれを自ら担いで寺を出て、街中を巡りながら叫んで言った、臨済が我のために僧衣を用意してくれたぞ、と。
我往東門遷化去。
我は東門に行って、そこで遷化しよう。
市人競隨看之。
街の人々は競うように彼について行って、それを見ようとした。
普化云、我今日未、來日往南門遷化去。
普化は言った、今日ではなく、明日南門に行って遷化する、と。
如是三日、人皆不信。
このようにして三日経つと、人は皆信じなくなった。
至第四日、無人隨看。
そして四日目には、もう誰もついてこなくなった。
獨出城外、自入棺內、倩路行人釘之。
そこで普化は一人城外に出て、自ら棺內に入り、行き合わせた人に頼んで蓋を釘で打ち付けてもらった。
即時傳布。
このことはすぐに街中に広まった。
市人競往開棺、乃見全身脫去。
人々が先を争うようにして行き棺の蓋を開けてみると、何一つないもぬけの殻だった。
祇聞空中鈴響、隱隱而去。
ただ空中に響く鈴の音が、ありありと耳の底に聞こえ、それが遠ざかって行くのみであった。
陰々と鈴の音が聞こえ、それが遠ざかっていく。
そのようにこの「勘辨」編は終わります。
「勘辨」で語られたことから、私たちはどのようなものを感じとれたでしょうか。
それを振り返るとき、耳の奥で微かに響く音が聞こえているような気がします。
そして、それは次第に遠ざかっていきます。
次回から「行錄」の部分になります。
引き続きよろしくお願いします。
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「臨済録」現代語訳は、全文の推敲を終えたら関連する地図、臨済の生きた時代の年表などと合わせて書籍にする予定です。
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