こんにちは、暖淡堂です。
「勘辨」の8回目です。
軍閥の指導者らに招かれて、軍営での斎事に臨済が訪れます。
そこで一人の将校に声をかけます。
「これは凡愚か聖者か」と。
将校はどのような反応を見せたでしょうか。
臨済録の原文全文は以下のリンクからご確認ください。
師因入軍營赴齋、門首見員僚。
師が軍営の斎事に赴いたとき、門のところに員僚(将校)がいるのを見た。
師指露柱問、是凡是聖。
師は露柱を指差して問うた、これは凡愚か聖者か、と。
員僚無語。
員僚は答えなかった。
師打露柱云、直饒道得、也祇是箇木橛。
師は露柱を打って言った、たとえ言いうるとしても、これはただの棒杭にすぎない、と。
便入去。
そうして、さっさと門を入って行った。
軍営の門にいた将校は、臨済が地面に建てられた露柱を指差して言った「これは凡愚か聖者か」という問いに答えませんでした。
その後、臨済は「たとえ言いうるとしても、これはただの棒杭にすぎない」と言います。
このやり取りからはいくつかのことが読み取れるかと思います。
将校が答えなかったことに理由があるかもしれません。
臨済の話をすでに聞いたことがあれば、「聖か凡か」という問いに簡単に答えるべきではないと考えたでしょう。
あるいは、ただ戸惑っただけかもしれません。
臨済は将校が答える前に、さっさとその場を離れます。
「聖だろうが、凡だろうが、これは棒杭にすぎない」
臨済は、このやりとりも意味のあるものではないと言って、この場を去っているように見えます。
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「臨済録」現代語訳は、全文の推敲を終えたら関連する地図、臨済の生きた時代の年表などと合わせて書籍にする予定です。
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