勘辨(8)「員僚無語」(員僚は答えなかった)「臨済録」より

2023-06-15

古典 臨済録

 

こんにちは、暖淡堂です。

「勘辨」の8回目です。

軍閥の指導者らに招かれて、軍営での斎事に臨済が訪れます。

そこで一人の将校に声をかけます。

「これは凡愚か聖者か」と。

将校はどのような反応を見せたでしょうか。



臨済録の原文全文は以下のリンクからご確認ください。 

「喝!!」の声が戦乱と混沌の世に響いた 臨済の生きた時代


  

師因入軍營赴齋、門首見員僚。

師が軍営の斎事に赴いたとき、門のところに員僚(将校)がいるのを見た。


師指露柱問、是凡是聖。

師は露柱を指差して問うた、これは凡愚か聖者か、と。


員僚無語。

員僚は答えなかった。


師打露柱云、直饒道得、也祇是箇木橛。

師は露柱を打って言った、たとえ言いうるとしても、これはただの棒杭にすぎない、と。


便入去。

そうして、さっさと門を入って行った。



 

軍営の門にいた将校は、臨済が地面に建てられた露柱を指差して言った「これは凡愚か聖者か」という問いに答えませんでした。

その後、臨済は「たとえ言いうるとしても、これはただの棒杭にすぎない」と言います。

このやり取りからはいくつかのことが読み取れるかと思います。

将校が答えなかったことに理由があるかもしれません。

臨済の話をすでに聞いたことがあれば、「聖か凡か」という問いに簡単に答えるべきではないと考えたでしょう。

あるいは、ただ戸惑っただけかもしれません。

臨済は将校が答える前に、さっさとその場を離れます。

「聖だろうが、凡だろうが、これは棒杭にすぎない」

臨済は、このやりとりも意味のあるものではないと言って、この場を去っているように見えます。


*****


「臨済録」現代語訳は、全文の推敲を終えたら関連する地図、臨済の生きた時代の年表などと合わせて書籍にする予定です。

 

臨済録原文全文リンク

 

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