こんにちは、暖淡堂です。
「勘辨」の18回目です。
ここでは定上座と麻谷が臨済と言葉を交わします。
それぞれどのようなやり取りになったでしょうか。
臨済録の原文全文は以下のリンクからご確認ください。
有定上座、到參問、如何是佛法大意。
定上座が、師を訪ねて来て質問した、如何なるかこれ仏法の大意、と。
師下繩床、擒住與一掌、便托開。
師は坐禅用の座から下り、胸ぐらをつかんで平手打ちを与えてから突き放した。
定佇立。
定上座はそのまま立っていた。
傍僧云、定上座、何不禮拜。
そばにいた僧が言った、定上座、礼拝をしないのですか、と。
定方禮拜、忽然大悟。
定上座は礼拝をしたその時、忽然と大悟した。
*
麻谷到參。
麻谷が師のもとに来て挨拶した。
敷坐具問、十二面觀音、阿那面正。
坐具を敷きながら質問した、十二面観音の、どれが正面でしょうか、と。
師下繩床、一手收坐具、一手搊麻谷云、十二面觀音、向什麼處去也。
師は縄床から下り、片手で座具を持ち、もう一方の手で麻谷をつかまえて言った、十二面観音は、いったいどこに向かって行ったのか、と。
麻谷轉身、擬坐繩床。
麻谷は師の手を逃れ、縄床に座ろうとした。
師拈拄杖打。
師は拄杖を取り上げて打とうとした。
麻谷接卻、相捉入方丈。
麻谷も拄杖に手をのばし、互いにつかみ合いながら方丈に入って行った。
定上座は臨済に祖師西来意、つまり仏法の根本義を問います。
臨済は言葉で返さずに、定上座に平手打ちを与えます。
礼拝をしないのかと側にいた僧に言われ、礼拝をしたときに大悟します。
麻谷は十二面観音の顔の中でどれが正面を向いているのかと問います。
臨済は立ち上がり、麻谷をつかまえて十二面観音はどこに行ってしまったのかと問い返します。
その隙に麻谷は臨済が座っていたところに座ろうとします。
そこを臨済は拄杖で打とうとして手を伸ばします。
麻谷もまた拄杖に手を伸ばし、二人はもつれ合ったまま方丈に入って行きます。
とても動きのある場面です。
ここから私たちはなにを読み取ることができるでしょうか。
悟りを得るために決まった形はない。
少なくとも、そう言えそうです。
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「臨済録」現代語訳は、全文の推敲を終えたら関連する地図、臨済の生きた時代の年表などと合わせて書籍にする予定です。
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