行錄(8)「兩彩一賽」(一度の勝負で二度勝ち)「臨済録」より

2023-07-10

古典 臨済録

一度の勝負で二度勝ち

 

こんにちは、暖淡堂です。

「行錄」の8回目です。

ここでも黄檗は臨済と首座との二人を相手にしています。

どのようなやり取りをするのでしょうか。



臨済録の原文全文は以下のリンクからご確認ください。 

「喝!!」の声が戦乱と混沌の世に響いた 臨済の生きた時代


  

師在堂中睡。

師が堂中で居眠りをしていた。


黃檗下來見、以拄杖打板頭一下。

黃檗が来てそれを見て、拄杖で板頭をひと打ちして鳴らした。


師舉頭、見是黃檗、卻睡。

師は頭を上げ、それが黃檗であることがわかると、居眠りに戻った。


黃檗又打板頭一下、卻往上間、見首座坐禪、乃云、下間後生卻坐禪、汝這裡妄想作什麼。

黃檗は板頭をもう一度打って、上の間に行くと、首座が坐禅していたので言った、下の間で若いものが坐禅していたぞ、汝はここで妄想しているとはなんてことだ、と。


首座云、這老漢作什麼。

首座が言った、この老人はなにをほざくのか、と。


黃檗打板頭一下、便出去。

黃檗は板頭をひと打ちすると、僧堂を出て行った。


後、溈山問仰山、黃檗入僧堂、意作麼生。

後、溈山が仰山に問うた、黃檗が僧堂に入ったときのこと、その意はどこにあるのだろうか、と。


仰山云、兩彩一賽。

仰山は答えた、一度の勝負で二度勝ちでしょう、と。


 

臨済は僧堂で居眠りをしています。

一方の首座は僧堂で坐禅を組んでいました。

そのどちらもが、黄檗を相手にして動じる素振りを見せません。

後に、仰山が言います。

この場面では、二度の勝ち目が出ている、と。

それはどのように解釈したらいい言葉でしょうか。

黄檗は二人の良き後継者を得た。

そのようにも言っているように思えます。


*****


「臨済録」現代語訳は、全文の推敲を終えたら関連する地図、臨済の生きた時代の年表などと合わせて書籍にする予定です。

 

臨済録原文全文リンク

 

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