こんにちは、暖淡堂です。
「勘辨」の14回目です。
臨済は楽普と言葉を交わします。
この短い対話は、何を私たちに伝えようとするでしょうか。
臨済録の原文全文は以下のリンクからご確認ください。
師問樂普云、從上來、一人行棒、一人行喝。
師は楽普に問うて言った、従来、ある者は棒を用い、またある者は喝したものだ。
阿那箇親。
お前はいずれかを自らのものにしたか、と。
普云、總不親。
楽普は言った、どちらも自らのものになっていません、と。
師云、親處作麼生。
師は言った、自らのものとするにはどうしたらいいか、と。
普便喝。師乃打。
楽普はそこで一喝した。師はすぐに打った。
「ある者は棒を用い、またある者は喝したものだ。お前はいずれかを自らのものにしたか」
臨済の問いかけに、楽普はまだどちらも自らのものになっていないと答えます。
その次の瞬間、臨済と楽普は一棒と一喝を交わします。
この短い対話は、まるで剣術の立ち合いをみているようです。
一瞬の隙をうかがって、お互いが相手に打ち込みます。
楽普は一喝を、臨済は一棒を。
楽普はこのようにして日々鍛えられていたのでしょう。
同時に、臨済もまた、楽普の成長を確かめていたのかもしれません。
あるいは、臨済自身も、自らを鍛え続けていたとも思えます。
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「臨済録」現代語訳は、全文の推敲を終えたら関連する地図、臨済の生きた時代の年表などと合わせて書籍にする予定です。
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